掲示板

おしゃべりやget you情報、
ライブ報告などどうぞ!

line80

get you!

TVで、街角で、
羽毛田さんの楽曲を
聴いたらみんなに
報告しよう!

line80

gallery

お宝写真やイラストを
載せてます。投稿募集中

line80

archives

ライブレポート

live imageアーカイブス
高円寺JIROKICHIライブショット
line80

作品・CDレポート

TV・ラジオ・書籍

年度別WORKS一覧

line80

traces BN

line80

サイトマップ

迷子になったら
ここをチェック!

line80

更新履歴

line80

サントラCDレポート(TVドラマ):TBS系ドラマ
「高原へいらっしゃい」オリジナル・サウンドトラック

AVEX AVCD-17363
2003.9.10 リリース
 

ドラマ「高原へいらっしゃい」

山田太一氏原作・脚本、田宮次郎氏主演で30年近く前に放送されたドラマのリメイク版として、2003年7月から9月まで、TBS系で放送されました。
今回は、脚本は前川洋一氏が担当、山田太一氏も監修という立場でいろいろなアドバイスをされたそうです。
羽毛田さんは劇伴音楽を担当。大学生時代、山田太一ドラマ「ふぞろいの林檎たち」にどっぷりはまった羽毛田さんは、このドラマの音楽を担当することになってとても感激したとか。
2003年8月のTokyo FMの番組では、山田太一氏をゲストに迎え、いろいろと興味深い対談をされています。

ドラマは、八ヶ岳の高原にあるホテルを舞台に、やり手と言われながらホテルをつぶしてしまった過去を持つホテルマンが、高原のホテルを再建しながら自分自身も再生していく過程を描いています。
特に優秀というわけではないけれど、それぞれ得意技を持っていて個性豊かな若者たちをひっぱっていく面川支配人(佐藤浩市さん)を見ていると、本当に強い組織は、人を切り捨てていくのではなく、トップが部下の良いところを見極め、信頼して守ることでできあがるのだ、ということを改めて感じます。
この人とホテルの再生の物語は、人も物もいらないと思ったらどんどん使い捨てていく今の風潮に対する、山田太一さんのメッセージのように思います。
若い人ターゲットのドラマが多い中、内容、キャスティングとも久々に大人世代が見ても見ごたえのある作品。放送中はもちろん番組終了数ヶ月たっても、番組サイトのBBS(掲示板)にファンからの投稿が続いたという、見た人から深く愛されたドラマになりました。

個人的には余貴美子さんの演技に感服。井川遙さんの好感度アップ!
それから、「ウルトラマンシリーズ」や「ケンちゃんシリーズ」に出演されたベテラン女優の柳川慶子さんが、ホテルを訪ねる初老の夫婦の妻役で出演されていて、おぉ!と思いました。
番組サイトもとてもきれいで、情報満載で楽しめました。

オリジナルサウンドトラック

視聴者からも「ぜひほしい」と要望の多かったサウンドトラック、全21曲が収録されています。
「草原や高原というと、僕の中ではアイリッシュミュージックが浮かぶ。」と前出のラジオ番組でも話しているとおり、今回もアイリッシュテイスト満載の音楽になりました。特にアイリッシュ・ホイッスルが多用されていて、「笛のアルバム」としても聴き応え十分です。安井敬さんのディスコグラフィーを拝見したところによると、敬さんがソロの高音のホイッスルと、高低デュエットのときのロー管を担当されているそうです。
このサントラのリリース日の前日、羽毛田さんは「NHKスタジオパーク」に出演しましたが、そのとき共演された安井敬さんのホイッスルの生演奏を聴いて感激、すぐにCDショップに走ってこのアルバムを買いました。
 
実は、このドラマの初回に初めてテーマ曲を聴いたとき、あまりにシンプルで素朴だったので、ちょっと意外な感じでした。
「あの」山田太一ドラマのリメイクだから、なんかこうあっと驚くようなものを想像していたので…。ところが、ドラマが進んでいくにつれ、この曲が登場人物に、そのセリフに、ドラマ自体のムードに、そして八ヶ岳の風景にもどんどんなじんでいき、気が付いたらドラマの血肉のようになっていました。
前出のラジオ番組でこの音楽が流れたあと、山田太一さんがしみじみと「ドラマの映像が目に浮かんでしまって…」とおっしゃってましたが、多分ドラマを一生懸命見た人はみんな同じ思いなのでは?それほどにドラマと一体化した音楽、これが劇伴の役割なんだなと実感した作品でした。
ブックレットを開くと、高原の池(沼?)の全景。これは番組にも出てきた美鈴池でしょうか。ここ数年に手掛けた作品数の多さを物語るように、羽毛田さんの紹介文が長い!
ソロアルバム「PRESENTS」のブックレットに載っている、羽毛田さんがピアノの前に座ってちょっと右方向を見ている写真とともに、1ページまるまる羽毛田さんコーナーです。

「このアルバムのタイトルは、とにかく内容がわかりやすいことにすると決めたので、どの曲も単純に楽器の編成やスタイルによって決めました」と羽毛田さん。
そのほか、少々解説もしてもらいました。(加筆したところは緑字になってます。)
 
1. 高原へいらっしゃい
ティン・ホイッスルの調べがなぜか日本の風景にぴったりなメインテーマ。
よく旅情報番組で使われているのはそのせい?
2. -Opening Theme-
番組ファンは、これを聴くとたまらなくなるでしょう。
1と同じメロディですが、このアレンジで聴いただけで、オープニング映像のぱーっと景色が広がる感じが浮かぶのです。オープニング用に短くなっていますが、より厚みを感じます。1より少し速いテンポと冒頭の朝川さんのハープのグリッサンドの効果大。
3. -Three Finger-
西海さんのバンジョーが楽しげな、よりカントリー調なメインテーマのバリエーション。「スリーフィンガーの教科書のような曲」なのでこのタイトルがついたそうです。
「スリーフィンガー」はアコースティックギターをピックではなく指で弾く奏法(フィンガーピッキング)の中の、最もポピュラーなスタイル。前半の旋律の鍵盤ハーモニカのような音はコンサルティーナ。

コンサルティーナはアイリッシュのボタン式アコーディオンです。
4. -Gentle Guitars-
その名の通り、メインテーマのやさしいギターデュオ・バージョン。
5. -Waltz-
リコーダーによるワルツのリズムのメインテーマ。
6. -Ethnic-
トルコなどの音楽にありそうなバッキングのメインテーマ。
バックの弦楽器はギターとアイリッシュ・ブズーキ。
7. 夏への扉
番組でとてもよく出てきた旋律。これはギターとアイリッシュ・ホイッスルのバージョン。
ローホイッスルが尺八みたいに響きます。
8. -Guitar Swing-
フィドル(バイオリン)の艶っぽい音色で奏でる「夏の扉」。
フィドルが歌っていて、同じ曲でもとても陽気な感じに。
ステーキハウスを経営していて、のちに菅原文太さん扮する小池シェフに弟子入りする五十嵐くん(高知東生さん)のイメージ。
9. -Guitar Duo-
ギター・デュオによる「夏の扉」。
10. -Harp & Tin Whistle-
ハープとこぶしたっぷりのティン・ホイッスルの悲しい曲。笛にからむハープが繊細で美しい!
11. -Ballad-
ハープと低音の笛の「夏の扉」。
12. 高原に風が吹く時
10の曲の、バックのシンセサイザーが幻想的なホイッスルのデュオ。笛はいろんな種類ありますが、自分で起こした風だけで鳴らす楽器。同じ吹き物でも、リード楽器と違うところです。音色にも風を感じます。
13. -Fiddle-
10の曲の、ギターと低音の笛のバリエーション。
14. -Native-
10の曲の原始音楽的バリエーション。
笛の音に、バックのパーカッションが「トントトトントト」とインディアンの太鼓みたいですが、
これはアイリッシュの太鼓、ボーラン。
15. 新緑に集う
この曲は必ず入っていてほしかった!この劇伴では数少ない羽毛田さんのピアノ演奏と、
ティン・ホイッスルのアンピエント感のある曲。面川さんがじんとくることを言うときに、いつも流れました。
16. Bon Voyage
15の曲のロー・ホイッスルバージョン。さらに幻想的な感じ。
17. Deep Sorrow
哀愁いっぱいな悲しい曲。バックのギターは日本のフォークソングみたいですが、後半のホイッスルの高低のデュエットがヨーロッパの民謡のようです。
18. -Drone Pad-
17のテンポを落とした短いバリエーション。
バックのシンセサイザーが深い絶望を表しているよう。
このアンビエント感のあるブワブワしたシンセ音を“Drone Pad”と呼ぶそうです。
19. Larry Grogan
本格的なアイリッシュ・ダンス・チューン。ボーランのリズムが独特な感じ。
調べたところによると、「Larry Grogan」は18世紀前半のアイリッシュ・パイプ奏者で作曲家。
この曲はLarry Grogan氏の作品で、アイリッシュのトラディショナルな曲。アイリッシュ・ミュージックをやっている人にはおなじみの曲だそうです。
20. 高原へいらっしゃい -Loop-
メインテーマのアコースティックな演奏に、ドラムの「ズンズンチャッチャズンズン」というリズムのループが合流します。このミスマッチが意外に心地よくて、いっきに元気な感じに。
21. forgiveness -Inst. for TV-
エンディングに流れた主題歌の「forgiveness」。浜崎あゆみさんの歌も、ささやくような歌声がクレッシェンドで盛り上がっていく感じがよかったですが、劇中ではやっぱりインストのほうが、ドラマのムードに合ってました。
これは抑え目のストリングスをバックにしたティン・ホイッスルのバージョン。確か、番組ではピアノのバージョンも流れたような記憶が。あれも収録してほしかったけど、このアルバムは「笛で完結」ということかな。

MUSICIANS

Acoustic Piano, Keyboards, Programming : 羽毛田丈史
Acoustic Guitar, Mandolin, Banjo : 西海 孝
Gut Guitar, Irish Bouzouki, Lute, Cavaquinho : 田代耕一郎
Tin Whistle, Recorder : 安井 敬  安井マリ
Concertina, Bodhran : 柳澤聡美
Percussions : 梯 郁夫
Harp : 朝川朋之
Fiddle : 太田惠資
1st. Violin : NAOTO
2nd. Violin : 真部 裕
Viola : 三木章子
Cello : 植木昭雄

風邪で弱った体でCDを聴いていると、すぐに気持ちよくなって眠ってしまうので、レビュー書きがなかなか進みませんでした。まさにヒーリング・アルバム!
アイリッシュ・ブズーキとはなんぞや?カヴァキーニョって何楽器?と疑問をお持ちの方は、ぜひ田代耕一郎さんのホームページをお訪ねください。全部写真が載ってます。(kingyo 040204 )
あまりに頼りない楽曲レビューなので、あやふやな部分を羽毛田さんに解説してもらい加筆しました。CDを持ってる方は、ぜひ読んで聴きなおしてみてください。(kingyo 040206)

劇伴(TVドラマ)メニューに戻る

このページのトップへもどる

1つ前のページへもどる